大人デニムで歩く神宮前〜中村里美×菊池武夫スペシャル対談〜

それぞれ明治通り沿いの神宮前にフラッグシップショップを構えるJohnbullとTAKEO KIKUCHI。両者を代表してJohnbullのものづくりに携わるパターンクリエイター中村里美氏とTAKEO KIKUCHIクリエイティブディレクター菊池武夫が「神宮前×大人×ファッション」をキーワードに語り合いました。「このエリアを盛り上げたい」という二人の思いから、両氏が注目する神宮前スポットも一緒にご紹介します。

第1回:今に通じる神宮前のファッション文化

おしゃれな人が“集まる”場所だった70年代の原宿

今回のコラボレーション商品をWEBサイトで紹介するにあたり、「Johnbull」、「40CARATS&525 by TAKEO KIKUCHI」共にショップを構えている「神宮前」というエリアにフォーカスをしているのですが、お二人は、その近辺のお店などについてよくご存知でいらっしゃいますか?

中村:

いえ、お恥ずかしい話ですが、私あまりプライベートがないものでよく知らないんです。自分が好きな場所というのは、自分のワークスペースぐらいしかないんです。
ただ、1軒だけワークスペースの近くに静かなカフェがありまして、そこはよく打ち合わせで使ったりしています。女優の永作博美さんがやってらっしゃる珈琲屋さんだそうです。
もっとこの辺り(神宮前周辺)を知りたいんですけど、あまり人に接することが少なくて。(笑)

菊池:

僕は、中村さんとは逆ですね。洋服を学んだ学校が神宮前の近くでした。そして、64年ほど前の学生時代と1970年に表参道に自分で店を作ったんです。それを思うと、この辺りにはどっぷり浸かっていますね。お店などに詳しいわけではないのですが、元々興味がこの辺りにはありました。

中村:

私も遡ってみると、中学生くらいの時に初めてこの辺りに来ました。「CABIN」などに行って洋服を買っていました。

菊池:

「CABIN」とか懐かしいね。

中村:

中学3年生の時に友達と「原宿はおしゃれな場所だ!」と思って訪れたんですが、「こんなに何にもない所なんだ」と驚きました。当時は、ぽつぽつとお店があるくらいでしたね。

菊池:

そうそう。点在していたね。

中村:

おしゃれな人は歩いているんだけどお店はあまりなくて、「お店に買い物に来る場所」というよりも「おしゃれな人が集まる場所」というイメージでした。

それは、80年代のことですか?

中村:

いえ、70年代ですね。私が中学生の時でした。その時はまだロングスカートが流行り出した頃で、同潤会アパートの前にみんなそういう格好で立っていましたね。それは妙に記憶しています。

菊池:

東京のファッションの流れがその頃からやっと始まった、という感じだよね。

中村:

ロンドンブーツ履いて、デニムのロングスカートという組み合わせでしたよね。

菊池:

そう、デニムが物凄く流行り出す直前だったね。ツギハギのパッチワークロングスカートとかも流行っていましたね。

中村:

そうそう。それが小学校の時に見た、初めての「ファッション」でした。

菊池:

そのスカート、作っていました。(笑)

ブランドブームの火付け役となった渋谷パルコ

70年代頃のドメスティックなブランドは、どんな感じだったんですか?

中村:

当時ドメスティックブランドは、あまりありませんでしたね。「BIGI」さんくらいでした。

菊池:

僕が「BIGI」を立ち上げたのは、ちょうど1970年なんですよ。その頃、ドメスティックブランドの店は、4軒くらいしかなかったはず。その後から、お店が少しずつ出来て行きましたね。

中村:

それまでは、サーファー、コンサバ、トラッド、アイビーというジャンルはあったけれど、“ブランド”というのは「BIGI」さんくらいですよね。

80年代に入ると、それが大きく変わるんですか?

菊池:

80年代は全く変わっている。いろんな動きが、たくさん出て来ました。

中村:

70年代中頃から、「BIGI」さんなどのドメスティックブランドが物凄い勢いで流行りましたね。その後、「ISSEY MIYAKE」などデザイナーズブランドの方にムーブメントが移っていきました。それが、私が高校生の頃です。
その頃、お金を払ってファッションショーを見に行っていました。品川スケートセンターというところでやっていて、3千円でチケットが買えたんです。(見に行っていたのは、)「ISSEY MIYAKE」や「KENZO」のショーでしたね。

菊池:

チケット代は安くなかったけど、それだけの価値があるショーだったね。

80年代になると、そのようなパーソナリティを持ったブランドが乱立するようになってきたんですね。やはり、原宿を中心に流行っていたのでしょうか?

中村:

いえ、代表的なのは「パルコ」ですね。平場※1ではないブランドショップがいっぱい入っていたんです。「ラフォーレ原宿」も、昔は今のように若い人のブランドだけではなかったですよ。出来たばかりの頃は、「ジャン=ポール・ゴルチエ」とかも入っていました。その前(ラフォーレ原宿が出来る前)は、ファッションといえば「パルコ」という感じでした。

菊池:

ファッションや文化の元みたいなものでしたね。

中村:

「パルコ」に行けば有名ブランドが手に入る、そういう風にお店を集めだしたのは「伊勢丹」などより「パルコ」の方が先でしたね。

菊池:

そうそう。

ファッションとしてのデニム

デニムという軸で見ると70年代から90年代までというのは、デニムブームの時期もあったと思います。デニムのファッションにおける役割は、時代によって変わってきていますか?

菊池:

デニムは、ロックミュージックなどの音楽と連動している時期に一般的になったんですよね。本来デニムは作業着なのでその世界では、かなり以前から認知されていたけど、普段着やファッションとしてはなかなか認知されてなかった。
映画だとデニムにTシャツというのはありましたし、例えば、白洲次郎さんが戦後すぐにLevi’sを履いて白いTシャツを着て、という写真もありますよね。そういう一部の人達にデニムというファッションはあったけれど、一般社会には全く浸透していなかった。巷がデニムを履き始めたのは、70年代だと思います。

中村:

私も中学生の頃は穿いてなくて、高校生頃からでしたね。一番初めは、女の子にはカラフルなカラージーンズがとても流行ったんですよ。ブルーデニムは男の子のイメージでした。高校生の後半頃から、原宿に古着とかを買いに来ていましたね。

それは、LeeやLevi’sなどのデニムブランドだったんですか?

中村:

Levi’sです。その前は、BIG JOHNを穿いていました。その頃から、やっと女の子がオーバーオールを着たり、バンダナを巻いたり、ネルシャツを着たり…というファッションが流行った時期だったと記憶しています。女の子は、それまでカラージーンズだけだったと思います。

菊池:

中村さんが中学生の頃は、僕が30代かな。デニムを取り入れたのは、「BIGI」が早かったと思います。まだ他で売ってなかったから、すごく売れたんですよ。1ヶ月で2000本ぐらい売れたんじゃないかな。
スリムなデニムは、結構あったんです。でも、もっとファッションっぽい、ゆったりとしていたり、裾が広がったり、ダメージがあったり、ツギハギなどのデコレーションがあったり、というものは無かった。あと、スカートもありませんでしたね。だから、そういうものを作りました。
最初にデニムの動きが来たのは、1968年頃かな。海外のヒッピー文化の影響だと思いますよ。それで音楽をやる人は、ほぼデニムはいているような感じになった。

日本でいうと、その間にフォークブームがあるんでしょうね。

菊池:

そう。フォークは、そこの始まりの時期に被っているんですよ。例えば、吉田拓郎さんとかは僕のデニム履いてくれていましたよ。そういうのが最初の頃の動き。
でも、あっという間に(そのブームは)なくなりましたよ。ロングヘアがなくなったのと同じように。ロングヘアがダサいと思われ出したら、急にデニムもダサいと思うようになった。(笑)もう少し違う形でデニムが広がったのは、その後ですよ。

中村:

デニムがもう少しファッションとして認知されだしたのは、その頃でしたよね。

菊池:

そう。昔は流行の流れが早いね。1年の展開がとても早くて、1年の間で全部変わりそうな感じ。

中村:

それはきっと、日本の高度成長期と一緒ですよね。

菊池:

あっという間に追いつこう、追いつこうとしたから、いろんな事を試したんだろうね。

(※1) 平場 …
百貨店などでブランドの垣根を崩し、複数ブランドを開放的な一つの空間に展開させた売り場のこと。対義語として箱場がある。箱場は、箱のように区切りを付け、一般的に特定の一ブランドがテナントとして百貨店などの中に設けるショップ(売り場)を指す。

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01 ヨダか珈琲

やさしい空気、おだやかな陽射しのもとで、ゆったりとした時間が流れるヨダか珈琲。広々している店内で、のんびり読書をしたり、お喋りしたりと、使い方は様々。

東京都渋谷区神宮前6-14-11

営業時間 月〜土曜 10:30-20:30(日曜19:30 L.O)

定休日 不定休

03-6712-6950

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中村:珈琲も美味しくて、静かで居心地の良いカフェです。仕事の打ち合わせで使うことが多いのですが、そのほかにも英語のレッスンに使ったりもしています。割と多目的に使われている方が多いですね。敷居が高くなくて、よそのお家のリビングにいるような雰囲気が気に入っています。

菊池:僕はこのカフェには入ったことがなかったんですが、この辺りはよく歩くので、外から見ていて気になっていました。見ていて雰囲気の良さが分かるんですよ。静かに過ごせる場所は、僕も好きです。

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