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22.03.24

みんなの台所

漫画とYouTubeのハイブリッド魯肉飯

料理にはあまり興味がなく、自分で取り組むことはほとんどなかったというカメラマンの高山幸三さん。コロナ禍になり、外食がめっきり減ってしまったことが、自炊を始めるきっかけだったという。「数年前に事務所を葉山に移転したんですが、周りにほとんど飲食店がないんですよね。あっても緊急事態宣言などで飲める時間が少なくなってしまった。それで仕方なく自分で作るようになりました」

最初はチャーハンやお好み焼きからスタートした。インターネットで簡単にレシピも手に入るので、気になる料理を見つけるとすぐにチャレンジ。「YouTubeでは、ほとんど料理番組しか見ていません。ネットフリックスでも、料理のドキュメンタリーばかりです。美味しそうだなと思いながら、自分が不器用なので、手際のいい人を観るのが気持ちいいんですよね」

ネットフリックスでは、ドキュメンタリー『タコスのすべて』にハマった。それまではまったく興味もなかったが、観てから無性にタコスに惹かれるようになったという。YouTubeでは、パスタ世界チャンピオンのシェフによる『yugetube』を観ては、レシピを参考に何度もトライしている。「例えば、テレビでうどんすきの番組を観たら、その場で検索してみます。家の裏手にスーパーがあるので、すぐに食材を買いにいき、一時間後には作り始めている、ということもしばしば。近くに大きな冷蔵庫があるようなものなので、それも自炊を後押しした要因だと思います。それでも億劫なんですけどね(笑)。手に入りにくい海外の調味料などは、Amazonなどで注文して、取り寄せるスタイルでやっています」

高山さんが、料理するようになったのは、友人であるフォトグラファーの伊藤徹也さんの存在も大きい。「伊藤さんは料理の写真をよく撮られていて、間接的に雑誌『dancyu』の編集の方を紹介してもらいました。その方に本をいただいて、読んでいるとだんだんやる気がわいてくるんですよね」

魯肉飯を作るようになったのは、ブランディングディレクター福田春美さんの本で、クミンを使った枝豆のレシピを見たから。それまでは、スパイス自体を買ったことがなかった。「一味や七味などの香辛料ならありましたが、スパイスは未知。それでもその枝豆を作ってみたくて、初めてクミンを買いました。ただ、その他に使い途がわからないから、活用できる料理はないかなと思っていたところ、漫画『クッキングパパ』で、魯肉飯にクミンが使われていることを知りました」

いざ作ろうと思ったら、クミン以外に用意しなければいけないものが多すぎた、と高山さんは笑う。五香粉や花椒、八角などのスパイス、フライドエシャロットなども揃えた。また、改良のヒントにすべく、多くの料理家さんとお仕事をされているフォトグラファーの伊藤さんに試食してもらい、意見をもらったこともある。「強引に、『味見してみて』って持っていきました。今まで一度も専門店で食べたことがないから、正解かどうかがわからなくて。でも、みなさんまったく違う作り方をしているから、自分の味でいいのかなと思っています」

その後、YouTubeで〝魯肉飯〟を検索し、台湾出身のタレント、インリンオブジョイトイの番組『インリンちゃんねる』にたまたまたどり着く。「彼女のレシピがめちゃくちゃシンプルなんです。食材もすごく少なくて。そこで紹介されていた醤油膏という台湾とろみ醤油を加えたら、きっと本場の味に近づくんだなと思って、急いで購入しました」

漫画やYouTubeを参考にしたり、台湾や香港によく通っていた友人に「八角を増やしたほうがいい」と言われたらその通りにしたり。素直に意見を取り入れながら、改良を続けている最中だ。高山さんの、魯肉飯への探究心は尽きない。

余談だが、撮影時に「汁物も一緒にどうですか?」と昨夜から仕込んでくれていた粕汁も振る舞ってくれたのだが、これが驚きの美味しさだった。こちらの紹介は、またの機会にでも。

◎材料

豚バラブロック
たまご
醤油膏(台湾とろみ醤油)
紹興酒 塔牌 花彫 陳五年
フライドエシャロット(揚げねぎ)
五香粉
クミン
花椒
八角
白ざら糖
白胡椒

豚バラを、ねぎやくず野菜、生姜、ニンニクとともに10分程度煮る(煮汁は割り下としても使用)。

煮た豚バラを1cm幅くらいに切り、鍋に入れ、五香粉、クミン、花椒、八角、白ざら糖、白胡椒をふる。醤油膏を入れて煮詰める。

煮詰まったら煮汁を加え、フライドエシャロットを入れ、さらに煮る。
ここがすごく大事なんだと、幸三さん。フライドエシャロットを加えると、とろみが出るそうで仕上がりにとても影響してくるそう。

途中でゆでたまごを投入してさらに煮込む。
半熟ゆでたまごを作るには7〜8分。氷を使って思いっきり冷やすのが殻を剥きやすくするコツ。

ゆでたまごに味が絡めば完成。あとは盛りつけるだけ。

Photo:伊藤徹也
Interview / text:松本昇子


今回使用した道具はこちら。
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高山幸三(たかやま こうぞう)さん

カメラマン。大阪府出身。仲佐猛氏に師事。1999年有限会社TANK設立。インテリアや建築を中心に国内外のプロジェクトを撮影。性格はせっかち。料理に鷹の爪をすぐに入れたがるため、レシピ通りにきちんと作りきることが目標。たこ焼きには自信あり。
https://www.kozotakayama.jp/

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