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23.01.24

みんなの台所

ユザーンさんが作る
ベンガル料理ダールカレー

北インドの伝統的な打楽器、タブラの演奏者であるユザーンさんが、初めて料理をしたのは小学生のころだった。「たまたま何かの本で『ベーコンエッグ丼』の作り方を読んだんですよね。油を敷かないフライパンでベーコンをカリカリに焼いてから卵を2つ割り入れ、大さじ1の水を加えて蓋をする。弱火でちょっと蒸し焼きにしたら、あとは炊きたてのご飯に載せて醬油をかけるだけ、みたいなレシピだったんですけど、なんだかそれがやたらと美味しそうに見えて。どうしても食べてみたくなり、仕方なく自分で作りました。普通に美味しく出来上がったような記憶があります」

今でこそ2冊のベンガル料理レシピ本『ベンガル料理はおいしい』『ベンガル料理が食べたい』を監修するなど、大のカレー好きとしても知られるユザーンさんだが、その『ベーコンエッグ丼』以来しばらくは、ほとんどキッチンに立つことがなかったという。しかし、ある出来事をきっかけに一変する。「19歳で初めてインドを訪れてから、毎年3~6か月ほどインドで生活してました。インド滞在中は、ほぼ全ての食事がカレーなんですよね。なので日本に帰ってくる頃には、しばらくカレーは見たくもない、みたいな気持ちになっていることが多かったです。でも、最近はそれがガラッと変わっちゃって。9年ぐらい前に仕事の都合でインドに行けない年があり、その年は必然的にカレー漬け生活からもしばらく離れられていたんですよ。そうしたら、ちょうど1年が経過したぐらいのタイミングで無性にベンガル料理が食べたくなっちゃって。ベンガル料理というのは僕がずっと住んでいたコルカタという街の郷土料理なんですが、現地で何年も食べ続けているうちに、いつの間にか自分にとっての郷土料理にもなってしまったんでしょうね」

最初のころは日本でベンガル料理の専門店を探しては食事に出かけていたが、毎日行くわけにもいかない。幸いにも、ベンガル料理を得意とする友人がいたので、電話でレシピを聞き、自分でも作ってみることにした。「大阪在住のシタール奏者、石濱匡雄さんの作るベンガル料理が異常に美味しいんですよ。なので、彼から電話やメールで指導を受けながら自分でも調理するようになって。でも、作りたい料理があるたびに連絡するのがだんだん申し訳なくなってきたので、石濱さんのレシピをまとめた本を出版することにしました。自分自身が使うために作ったレシピ集なので、とにかく重宝してます。あの本の一番の読者は、たぶん僕です(笑)」

料理の盛りつけに器は必須だが、ユザーンさんは波佐見焼のカレー皿も監修している。一食ぶんをワンプレートに盛り付けられる、仕切り付きのカレー皿だ。「今日使っている銀色の食器も仕切り付きワンプレート皿ですが、これをインドで購入するときに、カレー用のスペースが2か所のものと3か所のもののどちらを選ぶかかなり悩んだのを覚えてて。そんな悩みを解消すべく、仕切りの一つを着脱式にしました。その日の品数に合わせて取り外しができるのってかなり便利ですよ。そして、色も気に入ってます。青は食欲を減退させる色だと言われることもありますが、カレーを最も引き立たせるのは青系の食器だと僕は前から思っていました」

着脱が可能な仕切り

撮影当日に披露してくれたダール、マトンのカレー、壬生菜のバジャのほかに、郡山から取り寄せた鯉を使ったカレー、焼き茄子、サバのマスタードカレーなど、まだまだたくさんのメニューを仕込んでいたユザーンさん。彼の作る料理を求めて、友人たちがこれから自宅を訪ねてくるそうだ。

ベンガル料理・ダールカレー

◎作り方

1.ムング豆をフライパンで空炒りする。
2.1とレンズ豆を水で洗い、30分ほど浸水させてからポタージュ状になるまで煮る。
3.フライパンでマスタードオイルを熱し、マスタードシードを入れる。マスタードシードが弾けてきたら、鷹の爪とクミンシードを加えて炒める。

4.鷹の爪が色づいてきたらカレーリーフを投入。さらに、みじん切りにした玉ねぎを加えて8分炒める。
5.玉ねぎが色づいてきたらニンニクと生姜のすりおろしを加え3分炒め、ターメリック、コリアンダーパウダー、塩を加えて3分炒める。最後に2を加えて5分煮て、塩加減を調整してできあがり。
※ギー(インドを中心とした南アジアで古くから作られてきたバターオイルの一種の乳脂肪分)を加えてもおいしくなるという。

最後に、これからベンガル料理に挑戦してみたい人に一言アドバイスをするなら、という問いに、こう答えてくれた。「きっと何かのレシピを見ながら作ることになると思うんですけど、どんなに料理が得意な人も、まずはレシピに忠実に作ってみるべきですよね。時間も分量もきっちり守って、材料もなるべく代替せずに。そうやって調理したものを一度食べてみてから、その後に自分好みの味と作り方にアレンジしていったほうがいいのかなと。料理に慣れてる人ほど、最初から自分なりのやり方で適当に作っちゃいたくなるんですけどね。自戒も込めて」

国内外の数えきれないほどのスパイス。
自家栽培しているカレーリーフ。

Photo:太田太朗
Interview / text:松本昇子

今回使った道具はこちら!

alfi(アルフィ)シュトラール ライト フライパン 26cm

STRAHLの軽量タイプのアルミ製フライパンシリーズ。独自のコーティングで高い耐久性と使いやすさを実現。深型設計で、煮る・焼く・炒めるなど幅広い調理に対応、底面に1枚のステンレスを貼り合わせているので、フライパンの裏側には溝がなくお手入れが簡単です。また熱源から遠ざけつつ熱が溜まりにくいアップハンドルを採用しているところも◎。

alfi(アルフィ)とは

100年の時を刻み、世界中で愛され続けるアルフィ。1914年にドイツで設立され、高級魔法びんブランドとして長く愛され続けてきたアルフィ。今では世界の高級ホテルやレストランなどのプロフェッショナルに支持されるのはもちろん、セレブリティにも多くのファンを持ち、一般の家庭でも広く使用されています。

U-zhaan(ユザーン)さん

タブラ奏者。18歳で初めて聴いたタブラに衝撃を受け、インドへ単身留学、現地でタブラを学ぶ。2014年に坂本龍一、ハナレグミらをゲストに迎えたソロアルバム『Tabla Rock Mountain』リリース。監修本に『ベンガル料理はおいしい』(NUMABOOKS)など。
https://u-zhaan.com/

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